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「日本の民家」(地味なようで実は・・)


「日本の民家」 今和次郎 岩波文庫

日本の民家 (岩波文庫)日本の民家 (岩波文庫)
(1989/03/16)
今 和次郎

商品詳細を見る


何という地味なタイトル、地味な装丁

しかしこの中身がどれほど面白いか!
何度読み返し、ラインを引き、頁の角を折ったことか。

大正7年、全国に渡る一般庶民の民家を調査した今和次郎のフィールドワーク的記録。
民家の外見を描いた挿絵や間取り図が豊富に入っているが、それを見るだけでも面白い。

けれど何を置いても著者の民家・そこに住む庶民の描写が秀逸。
例えば

ーーーーー
ある一軒で私は一人の男の大切なものを出して見せてもらったことがある。
それは三、四十年前に撮った1枚の肖像写真であるが、もはや淡黄褐色に変色してしまっていて、それを手にして眺めてみた私に、「見えましょう」と言われたのだけれど、私には何も見えなかった。
それは袋の中に幾重にも包まれて仕舞われていて、家の中の唯一の個性的な所有物ー箱ーの中に大事に大事に納められているのだった。
(中略)
大人も子供もそこでは大根のように素直で、またよく働き、そしてよき休息をしていた。
ーーーーー

また、漁村を訪ねた時の描写がいい。
ーーーーー
この家の主人公が時々潮の様子を眺めては、漁の仕事を気にしているらしいのである。
主人公の半身が時々ぬっとそこに現れては、海の方を険しくにらむ態は、まるでこの頃の指人形芝居かのようだ。
家と人との関係が実にがっちりしている。
ーーーーー

紀州熊野では
ーーーーー
絵の如き家々は谷の間に点々している。それらの眺めは実に建築の詩である。それは旅行者にのみ与えられる楽しみである。熊野の家々の印象は忘れられない。
ーーーーー

山の(林業)小屋について
ーーーーー
小屋の壁は刈り取った叢の枝で出来ていて、生葉の枯れた匂いが室内に満ち満ちている。
そして細かく切り刻まれた日光の片々が、薄暗い室内をぼんやり明るくしている。その中に入っていると、虫籠か蛍籠の中にでも入れられているかのような感触が与えられ、自ら不思議な触覚が体躯から動いて出るような幻気に襲われてしまう。
ーーーーー

フィールドワークのはずが、もうこれは完全に「詩」だ。
民家もそこに住む人をも暖かく愛しむ気持ちが溢れている。
旧家の大きなお屋敷にも、山の粗末な小屋にも、同じ愛しみを持って観察している。

大正時代なので「辺鄙な農村」「開墾されてない山林」とある場所も、地名からして今や普通にベッドタウンか、街そのものになっている所がほとんどだろうなと思っていたら
既にそれを考え、実際に調査した人がいた!
   ↓

今和次郎「日本の民家」再訪今和次郎「日本の民家」再訪
(2012/03/25)
瀝青会、中谷 礼仁 他

商品詳細を見る


まだ読んでないが、今和次郎が調査し描いた民家を現代の時点で訪ねて歩いた記録らしい。
これは買わないといけない、が、¥3,360て高過ぎじゃないですか・・中古で買おっと。


15.jpg
 ぼくらの「民家」はメゾネットタイプです



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