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虚偽記憶 と 日本軍の「悪行」

先日から書いている中帰連を主とした日本軍の「悪行」証言と、{記憶の捏造}=虚偽記憶が生まれるメカニズムとの関連性について。

記憶はウソをつく (祥伝社新書 177)記憶はウソをつく (祥伝社新書 177)
(2009/09/29)
榎本 博明

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この本は一般的な刑事事件においての「自白」や目撃証言がどれほど曖昧なものであるか、あるいは「造り出される」ものであるか、それが外的要因に左右されるかを解いているもので、戦争や日本軍について触れられてはいない。
けれど日本軍人や満州国官僚らが中国・撫順収容所で6年に渡って抑留され思想改造を受け、「日本軍の悪行・残忍行為」を自白し供述書を書いた(書かされた)経緯を読むと、驚くほどこの本に書かれてある捏造記憶のメカニズムに当てはまる。

本書目次より、思想改造=洗脳を受けた人達に関係しそうな項目を書き出してみる。
(目次だけでも詳しく書かれてあるので助かります)

・記憶の捏造はこうして起こる
・自分の体験でないものが記憶の中に取り込まれる
・トラウマの記憶さえ書き換えられる
・記憶は巧妙に変容していく
・記憶と想像の間には明確な境界線は引けない

・虚偽の自白は二転三転する
・虚偽の自白に追い込まれるタイプとは
・「ひょっとして自分が」という不安
・記憶は書き換えられる
・記憶には今の自分の状況が影響する (「今」というのは想起する時点のこと)
・想像しイメージしたことが記憶に紛れ込む
・話しているうちに本人自身も騙されていく

・「無意識のうちに」という呪文 (追及されると無意識のうちにやったかも知れないと思い始めること)
・無意識を持ち出されると誰もが無批判になる

・抑圧神話のはらむ危険性 (自分に都合の悪い記憶は抑圧されて忘れていただけで思い出した、と捏造が始まる)
・聞き手の理解の枠組みに沿って説明する
・偽の記憶がどんどん増殖していく
・さまざまな揺さぶりが罪悪感や責任感を刺激する

・一度信じたイメージはなかなか拭い去れない
・記憶は再構成される
・誤情報を与えられると記憶が変容する
・質問の仕方次第で記憶は誘導できる
・記憶は辻褄を合わせる方向に向かう

・強い情動を喚起されると記憶は正確さを失う
・繰り返し話していると記憶は強化されてしまう

・同調の心理や暗示効果が記憶を作り変えていく
・話し合うことのデメリット
・集団のほうが冒険的な決定の罠にはまりやすい

・他人の視線が自分の意識や行動に影響を与える
・無言の同調圧力
・どこまでが自分のオリジナルな記憶なのか

 
( )内は私自身の説明です。




そして↓こちら

「天皇の軍隊」を改造せよ: 毛沢東の隠された息子たち「天皇の軍隊」を改造せよ: 毛沢東の隠された息子たち
(2012/02/08)
高尾 栄司

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これを先に読んでいて、前述の「記憶はウソをつく」を読むと、撫順での思想改造(=捏造証言)の過程がどれもこれも見事に当てはまる。

記憶のメカニズムが解明されてきたのは1980年代にアメリカにおいて「幼児期の親による被虐待経験」者が異様なほどに多発したことからだそうだ。
様々な実験実証を経て虚偽記憶についての解明がされるようになった。

中国共産党による洗脳=記憶捏造含む=は戦後間もない1950年頃だ。
周恩来が中心になっていたようだが、人間心理のメカニズムを知っていたのか、スターリンから受け継いだ洗脳法の延長として経験から分かっていたのか。
共産主義の特徴の一つに「目的のためには手段を選ぶ必要はない」があるが、ナンデモアリ状態でやれるものは何でもやってみようと人体実験の一つとして発達したものなのか。

けれど改造を受けた人達総てが改造されてしまった訳でもないし、捏造記憶を植え付けられた訳でもない。
「記憶はウソをつく」でも、一部の人は自分を失うことなく、捏造記憶に惑わされることなく居られるとある。
撫順収容所での6年に渡る中共の操作に陥る事のなかった人は居る。
小田少佐という人は供述書の中で時期場所人物、部隊の構成や位置などに矛盾が生じるようデッチ上げを紛れ込ませ、抑留されなかった少佐周辺の人達が見ればすぐに矛盾に気づくよう巧妙に書かれてあるそうだ。
供述書と見えて実は真実のシグナルを送っているのだ。
(「検証 旧日本軍の悪行 歪められた歴史像を見直す」自由社 より)

それでも何割かの人は罠に嵌ってしまい虚偽記憶の罠から抜け出ることが出来ずに生涯を送る。
人間が持つ知恵をマイナス方向に極限まで使いこなすと、ここまで他者を操作出来るということ
それを実際に組織としてやる集団が存在するということ
何というおぞましさだろう。




前にも取り上げた岩波書店刊の↓の帯には「日本軍人・旧満州国官吏達が詳細に書き記した侵略と支配の実態」とある。
「悪行」の供述書を諸手を挙げて擁護し、賛美までしているように見える岩波の害悪本だ。

侵略の証言―中国における日本人戦犯自筆供述書侵略の証言―中国における日本人戦犯自筆供述書
(1999/08/10)
新井 利男、藤原 彰 他

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陸軍中将であり日本軍人らしい軍人、皇族付武官の経験まであった人物、撫順から帰国後は中帰連会長となった藤田茂氏の「供述」を抜き出してみます。
「日本民族独立」や民族解放との言葉が各所に出てくる、つまり日本で共産革命を起こす事を意味する。
そして最後の一文は見るもおぞましい。
人間精神がどこまで破壊変容を受けてしまうものかが見えてくると思います。


私は中国人民に対し物質的精神的にも多大の罪行を犯しているものであります。無辜の人民を何等の理由なく殺害し、平和なる家庭を壊し、幾代か住み慣れし住家を破壊放火して人民を雨露に晒し、血汗を流せる糧穀を掠奪し、耕作地を荒廃せしめ、国際公法に違反して毒瓦斯、細菌戦を使用せる等の悪虐なる罪行を実行せしめたものであります。
これ等の罪行は凡て日本帝国主義の侵略行為に依り行われたるものでありまして、侵略戦争の惨逆性と破壊性とを如実に表示するものであります。
私は深くこの罪行の厳重なることと私の領導的立場の責任の重大なることを認識するものであります。
私は自己の罪行の厳重性と責任の重大性なることに思いを致し、更に認識の向上と思想改善に努力し、その実践たる認罪を徹底的に完行すると共に一歩を進め、他人の検挙にも邁進し、以て帝国主義の罪行の凡てを世界に暴露し、戦争に反対し平和を守る人民運動に対する一助とし且つは日本民族独立運動を支援する一端と希ふものであります。
之はまた中国人民に曾ての私の罪行に対する陳謝の誠意でもあります。
最後に私は私にかかる罪行を犯さしめたる裕仁に対し、心よりの憎恨と斗争を宣言せんとするものであります。
           1954年8月1日 於・撫順




改造を施した日本人を100人でも日本国内に放てば効果はあると中国側は考えていたという。
実際、ほぼその企み通りになっているのではないか。
保守層の中でも「残忍行為も多少はあったのでは」と考える人がいるが、まんま策略に嵌っていることに気付いてない。
中国に戦犯管理所という場所があったことや何が行われていたか知らないまま、調べようともしないまま、マスコミ(NHK,朝日新聞、岩波など)によって植え付けられたイメージを固定させてしまっている。
これを放置したままでは「戦後レジームからの脱却」など果たせない。



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コメント

こんにちは。

藤田茂氏はその地位から考えて、徹底的に思想改造されたのでしょう。
愛新覚羅溥儀でさえ改造されましたからね。
抗するすべは無かったでしょう。
改造される前に自決するべきでした。
それが死なせた部下への責任の取り方です。
おめおめと生きながらえて醜態をさらすなど帝国軍人とは思えません。
さらに死なせた部下が悪行の限りを尽くしたかのように・・・。
日本三大卑怯者でさえこんなことは言わないでしょう。
思想改造が無ければただの卑怯者です。

>hachimanさん

厳しいですね・・
やはり嵌った人というのは自己保身ありの弱さがあったんでしょうか。
元が立派な軍人さんほど嵌っている気がするのは、ある種の融通の利かなさもあったように思います。

溥儀は同時期に撫順収容所に居たようで、資料本に日本人抑留者と一緒に写っている写真が載っています。
溥儀は早い時期に東京裁判に連行され証言した時すでにアチラ側寄りだったので簡単に改造されたに見えますが、強固さにおいてはそれ程でもなかったような。
軍人気質が強いほど罠への嵌り方も強いとはどういうカラクリがあるのか・・。
収容所では自殺した人が何人も居たようです。
衣食住完備され日常に不足は無い中で自決するのは、責任を取って被害を抑え矜持をも守る意図しか考えられないですね。
それが出来た人と卑怯の権化となってしまった人の違い、こういうのも国防のための人材研究に役立てるべきと思います。

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