プロフィール

紺屋の鼠

Author:紺屋の鼠
近代史・政治・社会情勢
読んだ本あれこれ
古いものが主の映画・音楽

(記事への拍手をありがとうございます。
共感していただいて嬉しく励みになります)

フリーエリア

にほんブログ村ランキングに参加してみました。 プチッとよろしくお願いします。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター

リンク

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

漫画で描かれたシベリア抑留体験「凍りの手」

凍りの掌凍りの掌
(2012/06/23)
おざわゆき

商品詳細を見る


内容紹介
「あの大陸の奥、ずっとずっと北の凍りのような土の下に、仲間がたくさん埋まっとる。みんな、どんだけ無念だったろう。友よ、せめて、せめて魂は共に帰ろう」
「凍りの掌」は、作者のお父さんが実際に体験した過酷なシベリア抑留の様子を直接聴き書きし、2年半の歳月をかけ、全3巻の同人誌として完結させた作品です。
すでに戦争が終わっていたにも関わらず、労働力としてシベリアに送られた日本兵の多くは「俺たちは白樺の肥やしになりにきたのか」と言い、痩せ衰えて亡くなりました。かろうじて生き残った者たちも、いつ帰れるという保証も無いまま、極寒の地で重労働に耐えるしかなかったのです。
身内の実話であるが故にリアルな体験が語られ、極限状況を生き抜こうとする人間の慟哭が胸に響きます。戦争体験者が高齢化している現在、こうした形で生の声がまとめられたのは貴重な記録と言えるでしょう。
2010年6月、元シベリア抑留者に一時金を支給する「シベリア特別措置法」が成立しました。戦後すでに65年。抑留者は約60万人といわれていましたが、現地で1割以上の人が亡くなったとされています。シベリア抑留の闇が、いかに深いものだったかが察せられます。




表紙から分かるように漫画で描かれているもの。
私は漫画は子供の頃は異常なくらい読んだが大人になってからは手塚治虫「火の鳥」「アドルフに告ぐ」くらいしか読んだ事が無い。
苦手ではあるけれど、うちに置いておけば我が子が読みたくなるかとも思い買ってみた。

表現力は少し分かり難い所もあってプロ中のプロではないなと思ってしまったが、作者父親の壮絶な体験はしっかり伝わってくる。
それより文章が上手く、この人は漫画だけでなく文章記録として出版しても良かったのではないかと思う。

収容所=極寒の環境での重労働、飢餓、仲間との交流、反目、吊し上げ、共産主義教育・・どれも極限の人間模様で悲惨だが、作者父親の言葉として語られる一種淡々とした観方の方が胸を打たれる。
「もうしかたがない これからは流れるように生きていこう 自分の運命は自分で決める事など出来ないのだから 生きていくにはそれしかない」

意外だったのが「ソ連兵・ロシア人は未開人」だとの描写。
当時からソ連は一応の大国だったと私らには印象があるが、兵士や庶民はまるで未開だと書く。
日本兵が持っていた腕時計を当たり前のように奪ったソ連監視兵は、それまで腕時計を見たことがなかった。
壊れたから直せと抑留者に言うがネジを巻くことさえ知らなかった。
練り歯磨き粉を見ても何であるか分からず、痩せた大地から取れるジャガイモの味しか知らない、そんなソ連兵の姿も描かれている。
ロシア革命から30年経った「社会主義国家」であるはずのソ連の現実が垣間見える。




同じシベリア抑留体験記録としては内村剛介が有名

生き急ぐ―スターリン獄の日本人 (講談社文芸文庫)生き急ぐ―スターリン獄の日本人 (講談社文芸文庫)
(2001/06)
内村 剛介

商品詳細を見る


この内村の著書はどれも観念的で難解で、少し取っつきにくい。
その点「凍りの手」はその対極にあるようなもの。
けれど結局書かれていること、抑留体験というものへの感覚には似た物が読み取れる。
表現は違うが、「精神まで奴隷にはならぬぞ」の信念だろうか。
内村は11年という抑留者最長であったからか、ソ連はもちろんのこと日本への恨み骨髄という感じはどこを読んでも現れているが。

まだ読んでないですが↓晩年の内村の発言を載せたもの。
内村剛介ロングインタビュー 生き急ぎ、感じせく—私の二十世紀 ←版元ドットコムでの本紹介 クリックどうぞ

「凍りの手」では著者の父親が老いて初めて抑留体験を語り始めるわけだが、そこに至るまでの父親像も哀しいものがある。
「そんなん聞いてどうすんの。だいぶん前の話だでね、細かい事忘れてしまったんだわ」から聞き取りが始まり、進むに従って記憶の奥に閉じ込めていた詳細を思い出し始める。
このお父さんは戦争体験者にありがちな、終始淡々とした様子で話したのだろう。
「はだしのゲン」で描かれるような声を張り上げて主張することも感情丸出しにすることもない。


悲惨さを大げさに表現したり、被害者根性丸出しだったりする国内サヨクや半島の薄っぺらい奴らとは違う。
やつらは真実を語ってないからこそ余計大げさになるのだ。

本書は小中学生や本を読むのが苦手な若い人にも取っつきやすいので、もっと広く知られるようになればと思う。






関連記事

<< 中国はまたも軍閥割拠へ向かう・・・かも | ホーム | 避難区域に残された動物 >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 ホーム 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。