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日本=ジェノサイド国家というプロパガンダの元は蒋介石ーーそれの担い手だった辻政信

蒋介石の密使 辻政信(祥伝社新書) (祥伝社新書 344)蒋介石の密使 辻政信(祥伝社新書) (祥伝社新書 344)
(2013/11/02)
渡辺望

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辻政信ほど、常人の理解を超えた人間も珍しい。一介の参謀にすぎない彼が、各所で上司を無視して無謀な作戦を主導し、敗戦に導いたばかりか、陰謀、虐殺、偽命令などの事件を次々と引き起こす。だが、なぜか責任を問われることなく、また次の作戦に姿を現わす。周囲からは蛇蝎のごとく嫌われながら、戦後は大ベストセラーを連発し、圧倒的人気をもとに国会議員にも当選。最期は議員の身分でラオスに潜入し、そのまま消息を絶った。その彼の、さらに知られざる一面が、二〇〇五年のCIA文書の公開で明らかになる。そこに記された蒋介石との関係は、まさに驚愕に値するものだった。



著者、渡辺氏は最近正論などに評論を上げている保守の人です。
これを読んでると辻政信という人の得体の掴めなさ、異様さの毒気に当てられて気分が悪くなってくるくらいだった。

いくつか文章を抜粋してみます。

蒋介石が戦争全体を通じて一番欲していたもの、それは中国の国内戦線各地において、自らが指揮する諜報機関の総力をもって虚構しようとし、「日本=ジェノサイド(大量虐殺)国家」であるという物語を全世界に信じ込ませることに他ならなかった。

今日、中国共産党が展開している日本=ジェノサイド国家という宣伝工作の大半は共産党のオリジナルではなく、国民党がかくて徹底して行った宣伝工作の受け売りに他ならない。



日本軍人にあるまじきジェノサイドの担い手というほかないが、辻のこうした姿は中国の低級なプロパガンダ映画あたりに登場する「虐殺の担い手」としての日本軍人のイメージに、まさにぴったりくる人間であろう。



辻はいわゆる他国軍に対する「悪行」とは別に
・ノモンハン事件においてソ連軍の捕虜になったのち帰還した部下将兵らに自決を要求した。
(この頃「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓は未だ出されていない)
・ノモンハン事件以降の関東軍とソ連軍との和平交渉をロシア人工作員利用により決裂させた
・ポートモレスビー、ガダルカナル島で無謀な作戦を強行し多大な犠牲を出す
盧溝橋事件は1937年7月7日のことだが、7月20日、辻はシナ駐屯軍司令部に現れ盧溝橋付近の中華民国軍を爆撃する、自らも戦闘機に乗ると言い出す。主任参謀の池田中佐らは不拡大方針で決まりかけているので、それはならぬと止めたが辻は中央部が鈍いから独断でやると言う。池田中佐が「どうしてもやるなら我らが友軍相撃ちで撃墜してやるぞ」とまで言ったので辻は断念したという。

これらを指揮した辻のことを著者は「部下へのテロリズム、リンチ」であると書く。

そして辻の独断によって為された「シンガポール華僑虐殺事件」、バターンの米軍投降兵に対するニセの射殺命令(これは幸い未遂に終わった)、そしてビルマにおける「英国軍捕虜人肉試食事件」というものまで、ごく近くに居た人らの証言により否定しようのない「悪行」がある。

ソ連や蒋介石軍との和平工作を決裂させたと思ったら、今度はまた和平工作を上官無視で独断でやろうとする、そして戦後は逃亡して蒋介石軍側に寝返り、後には中国共産党に近づこうとしたりーー
一貫性も見られずハチャメチャ、見ようによってはとにかく混乱状態の中へ中へ、あるいは自ら混乱を造り出す方向へとばかり動かしていたようにも思える。

唯一、一貫共通して見られるのは蒋介石を喜ばせるような事件であったこと。

これらの地での辻の犯した行為は、日本軍がジェノサイド的な軍隊であったというイメージ、すなわち蒋介石・国民党が日本という国にかぶせようとしたイメージにぴったり合致する。魔女(辻)による魔神(蒋介石)への「帰参の手土産」という訳である。



蒋介石はということ、軍の統制など一切取れておらず逃げ回るばかり、自国民の生命を軽視した黄河決壊事件、共産主義者弾圧・虐殺などなど辻にも増してハチャメチャな怪物だ。

二人の共通項は
・依存対象をくるくると変え、その対象を利用しつくして延命を図る
・対立する両側に巧みに依存しながら自分のポジションを強く確保し、生き残りを図る
であり、この似た者同士が日本ポツダム宣言受諾後、辻の逃走から出会うことになる。


この後から辻が行方不明になる直前までの行動はCIA秘密文書によって明らかになっている。
けれどその文書はあくまでも戦後の動向であって、戦時中の辻政信ー蒋介石の繋がりについては確定的な事は書かれていない。
私としてはそこが一番知りたいのに!というところですが、決定的資料が出ない限りは仕方ないか・・

それにしても不思議なのと同時に呆れるのが、ニセ命令出したり、独断謀略やったりで明らかな軍規違反であるのに、こういう人物を誰も止めなかった事だ。
何らかの才能があるとしても、参謀や前線に登用しないようには出来なかったものかと不可思議で仕方ない。
辻には一種独特の魅力があり、これに魅入られてしまう人は少なくなかったようだし、また他人の些細な個人的弱点を見抜いてそこをつついて抑え込み批判の口を閉ざさせる才能、そして弱った者に手を差し伸べ親切の限りを尽くし感動させ「信者」にさせてしまう才能、などもあったのだろう。

尾崎秀実に丸め込まれていた近衛文麿もそうだが、辻の動きを完全に止められなかった東条英機も、両者とも懐が大きいばかりにそれが仇となったように思えてならない。

著者はそういう日本人独特の弱点をこう書いている。

日本人ほど親切がもたらす様々な不幸に鈍感な面々はいない。
日本人は親切好きであるとともに、親切に弱い。親切を受けた瞬間、そのことへの美的感動から、何もかもが分からなくなってしまう。

蒋介石が許しがたいのはこの日本人の弱点を知り尽くしていた上で、「以徳報怨」の謀略を行ったということにある。
日本人は「赦す」という蒋介石の親切行為に感動した瞬間に「悪を犯した」という劣位におかれてしまったのだ。



この点で「親切の悪用」をやらなかった中国共産党は失敗した、と書いている。
が、私が思うにはここ最近まではある程度この作戦で成功していたのでないか。
周恩来も蒋介石と同じタイプで、もっとより長期展望の基に狡猾にやった。(参照・左欄の本『天皇の軍隊を改造せよ』)

「天皇の軍隊」を改造せよ: 毛沢東の隠された息子たち「天皇の軍隊」を改造せよ: 毛沢東の隠された息子たち
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辻政信、蒋介石、周恩来などこういう「怪物」タイプに対して、混乱しかもたらさない危険な怪物だと認識できず放置するか賞賛までしてしまうケースが過去には少なくなかった。
何でこんな奴らに好きにやられたんだ!
CIA文書が公開されたりもしている今、詳細に検証して大戦を総括(田原総一朗がいつも言う総括みたいだけど)してみる必要があると思う。





上記CIA文書とは↓この本の著者・有馬哲夫氏が2005年に解析したもの。
大本営参謀は戦後何と戦ったのか (新潮新書)大本営参謀は戦後何と戦ったのか (新潮新書)
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これも合わせて読むとより分かりやすくなると思います。




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