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「五分間の決断 特殊潜航艇『蚊龍612号艇』 横井順一の手記」

このブログを見に来て下さっている方々には釈迦に説法となりますが、紹介しておきたい本があります。

五分間の決断 特殊潜航艇「蛟龍612号艇」横井順一の手記五分間の決断 特殊潜航艇「蛟龍612号艇」横井順一の手記
(2011/05/31)
横井 順一

商品詳細を見る

内容紹介:戦後すでに六十数年、戦争を知らない人が大多数となった。 「やがて歴史の枠外に忘れ去られてしまいそうな事柄を記録しておきたい」と兄・順一氏が記した原稿を編集した一冊。

戦時中の瀬戸内海各地での日本海軍の動向を知りたくて行き当たったのが本書。
手記を書いた海軍潜航艇隊員であった横井順一郎氏は既に故人となっておられ、その弟さんの横井寛氏が編纂したものです。

まず、「あとがき」にあった順一郎氏本人の言葉を引用してみます。


戦争に生き残った者は、その体験を後世に残し伝えるべきだといわれて来たが、それは生易しいことではない。
戦争は絶対に悪だとしてきた戦後、戦記物の多くは反戦の論理に従って、戦争を批判し、戦いに加わった自分を懺悔し、嘲笑さえしている。
しかし、これらは当時の大多数日本人の心境を描きつくすものではない。殊に、あの戦いに馳せ参じ、生命を捧げた先輩や仲間たちのことは、実体験のないものには到底分かってはもらえないと思う。
私達にとっては長い月日であった戦争も、歴史の上ではほんの一時点の出来事として記録されるに過ぎない。
あの頃、海の中を潜って悪戦苦闘していた各種の特攻兵器があったことも、その搭乗員として命がけの日々を送っていたことなども、時の経過とともに、やがて歴史の枠外に黙殺され、忘れ去られてしまうに違いない。
私は何かの形で生の証として、当時の姿を記録しておきたい。



日本を護るために文字通り命をかけた若い日々を送ってこられた人達に、こんな思いをさせてしまっていいのか、
自らを懺悔させたり忘れ去ってしまったり、そんな事があっていいものなのか、
とても胸の痛む思いがします。

タイトルの「五分間の決断」とは、予科練において「危険を伴う画期的兵器要員を希望するかどうか、五分間で決断し、○をつけて提出する」事を意味する。
本書には書かれていないが、いわゆる「ミッドウェーの運命の五分間」をもじった物かとも思う。
5分間で運命が分かれる、こんな場面は戦時中にはあらゆる所であったことだろう。

その画期的兵器というのが、特殊潜航艇「蚊龍」。
蚊龍(潜水艦)wiki ←ここクリック

特攻基地は広島県・呉近く倉橋島にあり、訓練は高知県・宿毛や小豆島でも行なわれていた。
横井氏が乗る潜航艇は訓練中に衝突事故や故障のために命を落とす寸前の危機にも遭遇、出撃する以前の訓練の段階で正に命がけだった。実際、他の艇は機雷接触や事故で搭乗員は帰らぬ人となってしまっている。
厳しい訓練の様子が描かれているが、それでも心温まるエピソードも挟まれてありほっとする。
言葉に出さないが思いやりある手配してくれる上官、訓練中の寄港地が故郷だった搭乗員のために家族を乗せた伝馬船を横付けする地元の人達、訓練地で知り合った家族との交流・・
戦争中の人間=日本人が特殊な人達だった訳じゃない、今と変わらない普通の人達だったことが伝わってくる。

8月14日、太平洋出撃のため紀伊串本まで赴いていた横井氏の艇は、故障のために瀬戸内海に戻ることになる。
そして15日終戦。
8月18日に横井氏が聞いた第十特攻戦隊司令官小和田少将の(武装解除の)言葉が書かれあるが、「陛下が一身を投げ出す御覚悟でいらせられること」を涙ながらに諭した、という。
昭和天皇がマッカーサーとの会見でそれに類するお言葉を発した真偽は不明と言われているが、終戦早い時点で軍の一部でこの言葉が伝えられていたとは驚きだ。
こういうものがさりげなく出てくる意味でも、実際に体験した人達の手記というのは貴重だと思った。

ところで順一郎氏の弟さんの本書著者の横井寛氏は、書籍だけでなくブログにて発信しておられます。
1930年生まれと書いてあり、(失礼な言い方ですが)この年齢では考えられない程の立派な造りのブログです。

ブログ「短檠(たんけい)」 ←ここクリック

とても示唆に富んだ記事を書かれているので、是非こちらも読んでみて下さい。
(ブログ内「新刊紹介」のところから本書購入できるようです)

戦争体験、従軍体験など発信している方たちの中には、マスコミや戦後体制史観に気を遣いながら自身の本当の思いを抑えたり隠したりしている人も居るかも知れない。
本当の思いや実際にあった事を世に出して貰いやすい環境、広く知られるべき事が知られる環境、をきちんと整えるべきだと強く思います。

(本書を取り上げるに当たっては、横山寛氏ご本人の了解をいただきました)







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コメント

こんばんは

というより、おはようございます、ですね。

私の好きなテーマです。早速「五分間の決断」このページのアマゾンで注文いたしました。配送料無料で11日に届くようですが。

読みかけの本がいっぱいあります。うち三冊はご存知ですよね。「五分間の・・・」「守るべき人がいる」「終戦のエンペラー」そしてご存じない「宦官、側近政治の構造」。

支払いが気になるので、これからコンビニへ行ってきます。また、ゆっくりおじゃま虫しますね。では。

おはようございます

横山寛さんのブログを訪問して参りました。
“すごいな~”って、感心してしまいました。

>うさぎ屋さん

こんばんは。(となりました)
早速興味を持って下さって、ありがとうございます。

「五分間ー」にはご本人に拠る潜航艇の図解や絵も載っていて、状況が想像しやすく分かりやすかったです。
何もかもが貴重な資料だと思います。

私も読みかけと言いますか常に平行読みしてるので、内容がごっちゃになったりします。
「終戦のエンペラー」原作も買わないと。


>イーグルスさん

こんばんは。
横井さん、お年から言っても凄い方ですよね。
戦時中のお話なども書いてられて、ああいう話を聞きたい人は少なく無いと思うんです。
でもテレビや新聞は「反戦侮日」風味でないと取り上げないですしねえ・・。

こんばんは。

先ほどは送信をクリックしたら、待機中になって、そのまんま固まってしまいました。
今回も「ページでエラーが発生しました」なんて言ってますよ。
とりあえずテスト送信してみます。
中村秀樹「本当の特殊潜航艇の戦い」(光人社NF文庫)にも蚊龍は詳しく出てました。

>うさぎ屋さん

送信テストお疲れ様です。
昨日からちょっと遅くなってる気がしますね。
FC2はどうなってるのか、私も長文を書いて送信押したらエラーが出て全部消えてしまったり、ありました。
タダで借りてるブログなのでモンクは言えませんが・・。

> 中村秀樹「本当の特殊潜航艇の戦い」(光人社NF文庫)にも蚊龍は詳しく出てました。

早速アマゾンで調べてみましたが、かなり詳しそうですね。
同じ中村秀樹著書として「これが潜水艦だ」も面白そうで一緒に購入しようかなと。
アマゾン商法は狡いです(笑)
こうやって又、同時平行読みが何冊にも増えていくのです・・。

おはようございます。

私の方もアクセス解析の機能が半分は使えません。

私は「潜水艦」の方は読んではいませんので、いずれこれについてアップしてください。

「潜水艦」を買うつもりで、書店にいったのですが、「特殊潜航艇」が出版されたその日か翌日だったんですね。もう何のためらいも無く手に取り、帰りの車の中、信号待ちの時から読み始め、その日のうちに読了してしまいました。ですから、2007年6月15・6日のことです。

大分前の消えた送信に書いたかもしれませんが、中村さんは多感な青少年時代に獅子文六「海軍」に憧れて、自ら潜水艦乗りになったひとです。中公新書、724円+税。

戦中は松竹、戦後は東映で映画化され、私は戦後版のDVDを映画好きのネト友から頂いたのですが、まだ読んで、いや、まだ観ていません。1年以上たつのに・・・。
他愛もないお話で、では。

>うさぎ屋さん

アマゾンで中村氏著書から彷徨っていたら「おすすめ」として出ていた「海軍めしたき物語」(高橋孟)なる本までカートに入れてしまいました。全部読了するのはいつになるんだ・・

自ら潜水艦乗り志願とは凄い人ですね。根性と憧れの熱意が無いと出来なさそうな。そういう人が居てくれるから国防も成り立つ訳ですね。

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